■布団の上は「熱がこもりやすい」
しかし、そもそもの話だが、なぜ「リチウムイオン電池」(バッテリー)は爆発してしまうのだろうか。
NITEの製品安全センター 製品安全広報課・担当者は「リチウムイオン電池は、プラス極、マイナス極、およびプラス極・マイナス極を絶縁するためのセパレーターと電解液で構成されており、多くの電気エネルギーを貯められます」と、電池の構造について説明する。
続けて「製造時に混入した微細な金属製の異物や、使用中の衝撃によってセパレーターが破損することで、プラス極とマイナス極がショートしたり、過充電や外からの過剰な熱を受けたりすると、電池内部の温度が急激に上昇する現象(熱暴走)が生じてしまい、電解液が可燃性のガスとなって電池が膨張します」と、電池の内部で起こっている事象について解説してくれた。
バッテリーがこの膨張に耐えきれなくなるとガスが吹き出し、最悪の場合は自身の温度や火花などで着火してしまうのだ。
担当者はさらに、「リチウムイオン電池は複数の『燃える材料』で作られており、衝撃・圧力や温度に弱い、デリケートな製品ということになります」と、その特徴を指摘する。
これらを踏まえた上で、「特に充電中は、リチウムイオン電池に大きな負荷がかかっている状況のため異常が顕在化しやすく、NITEに報告されているリチウムイオン電池の事故の多くが、充電中の事故になります」と、その実情を明かしてくれた。
また「就寝時の充電」が危険な理由として、「熱のこもりやすい布団の上での充電はなるべく避け、就寝中ではなく監視できる時に、周りに可燃物を置かない状態での充電をオススメします」とも説明している。
じつは布団を含む「寝具」そのものが、バッテリー爆発による事故をさらに悪化させる可能性があったのだ。
リチウムイオン電池製品の廃棄・交換の目安については、「異常に膨張したり、充電時等に異常に発熱したり、何かおかしいと感じたら使用を中止し、事業者に対応を相談してください」「また、充電に時間がかかるようになったり、電池の持ちが悪くなってきたり、製品が膨らんでいるように感じられる場合、リチウムイオン電池が劣化してきたことを示しますので、廃棄・交換を検討してください」と、注意を喚起していた。
今回のような事故は多くの家庭で起こり得るため、この記事を読んでいる読者にとっても決して他人事ではない。
話題のポスト投稿主・鉄腕あとむさんも「Xで目にした覚えがある事件だったこともあり、『もしかして?』と頭を過ったのは幸いでした。この投稿で、誰かのPSPが救えれば良いと思い、ポストしました」と、振り返っている。
年季の入った携帯ゲーム機の充電には、細心の注意を払うべきだろう。