そんなカネと生産能力があれば輸出可能な製品に回して税収を確保すべきです。クズのような装備の調達で生産アセットを使うことは、減少する労働力のムダ遣いでもあります。

投資に対するリターンがマイナスです。

財務省の裏には金のなる木が生えているわけではありません。これ以上政府の赤字を増やせば、円の価値は暴落して、装備やコンポーネントの輸入も難しくなります。今や国産装備も多く外国製のコンポーネントを使用していますから、極端な円安は防衛費の実質的な削減になります。

またいざ戦時となった場合戦時国債を発行するとして一体どこの国が買ってくれるでしょうか。戦時や大災害を想定するならば健全な財政であることが必要不可欠です。

むしろどうせ将来性の波国産装備を止めて、なおかつ自衛隊を縮小すべきです。

いくら力んでも防衛費に回せる税収はないし、兵隊の数も同様です。100の戦力を目指して30しか兵隊が集まらないのは根性ではどうにもならない。であれば70の戦力で80の充足率を目指すべきです。

フランスの取り組みは大変興味深いですが、我が国では無理でしょう。まず口では色々いっても防衛省はスタートアップ企業には冷たいし、防衛産業を理解していません。

そして本気で輸出しようなど思っていません。

対してフランスは軍事関連の輸出は国是ですから、全く環境は違います。フランス企業は輸出市場で常に戦ってきているし、欧州の他国のメーカーとも共同開発や、企業買収を通じて一体化しています。事実上EU内は一つの国と言ってもいい。通貨も同じだし、関税もかからない。こういうスキームは有効でしょう。

防衛産業の振興を図るならば政府、防衛省、自衛隊、企業ともに当事者意識をもっと持つべきだと思います。

そのうえで何が問題かを把握して真面目に対処すべきです。やっているフリでは何も変わりません。

Boarding1Now/iStock

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