■FDA(食品医薬品局)創設の礎を築く

 もちろん“隊員”たちにはどの料理に化学物質が含まれているのか、それがどのような物質であるのかをまったく知らされていなかった。

 当初、防腐剤の役目を果たすホウ砂(borax)はバターに混入されていたのだが、すぐに“隊員”たちはバターに手を付けなくなったという。そこでミルク、肉、コーヒーに混入したのだが、やがてそれらのメニューも避けられるようになったのだった。

 こうしたことが続き、ウィリー博士たちはカプセルに入れたホウ砂を何らかの薬であるとして、食事の中ほどで飲むように命じることになったということだ。

 当然ではあるが、実験期間中に体調を崩す者は相次いだ。嘔吐が続いたり、仕事ができないほどの倦怠感、激しい腹痛や頭痛の症状が出た場合は会場で食事をしなくともよいことにはなっていたが、それでも“隊員”たちは少しくらい体調が悪くともこの豪華な食事を続けたのである。

 今日であれば非人道的な実験として大問題になることは間違いないこの“人体実験”は、メンバーを入れ替えつつなんと5年間にわたって続けられ、貴重で有益なデータが収集されたことは事実だ。彼らが“人柱”になったおかげで、今日の我々はある程度は安心して食品添加物の入ったフードアイテムを摂取できるのだ。

何も知らず、喜んで“人柱”となった12人の男たち
(画像=画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

そして1906年にウィリー博士は食品添加物に関する法律である「食肉検査法(Meat Inspection Act)」と「純正食品・薬品法(Pure Food and Drug Act)」を策定し、今日のFDA(食品医薬品局)の創設の基礎を築いたのである。

 彼ら「毒物部隊」のメンバーは悲惨な“人体実験”の犠牲者であると同時に、後世の人々のために“人柱”となった英雄でもある。実験後の彼らがどのような健康状態で一生を終えたのかはわからないが、悲劇的な最期を遂げていないことを願うばかりだ。

提供元・TOCANA

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