つまり、通常の温度(25℃)では赤葉よりも緑葉の方が光合成レベルが高かったのに対し、高温下(35℃)では緑葉よりも赤葉の方が光合成レベルが高く、よりよく成長していました。
これは赤葉のカタバミが都会の高温ストレスによって進化し、高温耐性を獲得したことを強く支持するものです。

世界でも同じ進化が起きていた?
最後にチームは、この進化がどれだけの規模で起きているかを調べてみました。
もし都会の高温ストレスがカタバミを赤く進化させるのなら、カタバミが自生する世界中の都市圏でも同じ適応が見られるはず。
そこで観察データがオープンに利用できるiNaturalistのデータベースを使い、世界中からアップロードされた9561枚のカタバミの写真を分析した結果、世界の都市部でも緑地に比べて、赤葉カタバミの割合が多くなることが判明したのです。
これは世界規模でカタバミの進化が発生していることを示唆しています。

以上の結果は、ヒートアイランドによって植物が進化したことを示した世界初の成果です。
これを受けて、研究者はこうコメントしています。
「世界中どこにでも生えているカタバミの葉の色の進化は、世界で最も観察しやすい進化の事例と言えるかもしれません。
都市の赤いカタバミを見たら『お、進化が起きているやつだ』とダーウィンの顔を思い出してくれたら嬉しいです」
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参考文献
都市の熱さで植物は赤く進化する-ヒートアイランドへの急速な適応進化を初めて実証-
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/36096.html