「この人、本当のことを言っているのだろうか?」

 誰しも一度はそんな疑問を抱いたことがあるはずだ。実は相手の発する言葉の中には、嘘を見抜くためのヒントが隠されているという。近年、犯罪心理学や言語学の分野では、“言葉の選び方”が嘘の兆候を示すサインになり得るとして注目されている。

 もちろん、「これを言ったら嘘つきだ」と断定できる“魔法のキーワード”は存在しない。しかし、ある特定の言葉遣いや言い回しには、嘘をつくときの心理状態が無意識ににじみ出るというのだ。

主語が消える?「私」を避ける人の心理

 まず注目すべきは、“一人称”の使い方だ。「私」「僕」「俺」など、自分を示す言葉を意図的に避ける傾向がある人は、話の内容から距離を置こうとしている可能性がある。たとえば、「私がミスをした」ではなく、「ミスが起きた」といった具合に、あえて主語をぼかすような言い方をするのだ。

 これは、自分を責任のある立場から遠ざけ、罪悪感やリスクを回避しようとする心理の表れとされる。