米Salesforce(セールスフォース)のマーク・ベニオフCEOが先月(2月)、同社が開発した新しいAIエージェント「Agentforce」を導入したことによりエンジニアを採用する必要がなくなったため、2025年度はエンジニアの採用をしないと発表し、話題を呼んでいる。AIの普及でプログラミングの世界でもノーコード、ローコードが増えつつあるなか、日本企業の間でもプログラマーをはじめとするITエンジニアの採用数を減らす、もしくは行わないといった動きが広まる可能性はあるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
セールスフォースの「Agentforce」は、サービス、セールス、マーケティング、コマース領域のタスクを処理する自律型AIエージェントで、Salesforce Platform上に構築されている。データを検索・分析し、行動計画を作成し実行することで、従業員が行う具体的なタスクをサポートし、業務の効率を向上させることができるという。たとえば従来のチャットボットを「Agentforce Service Agent」に置き換えることによって、事前にプログラムされたシナリオがなくても幅広いサービスの問題に対応でき、カスタマーサービスの効率を向上できる。
ベニオフCEOが先月の同社決算説明会で語ったところによれば、「フォーチュン100」にリストアップされた企業の約半数がすでにセールスフォース社の製品を導入し、同社で直近90日間で発生した38万件の顧客対応のうちの84%を「Agentforce」が解決。「Agentforce」について5000件の契約を獲得したという。
エンジニアの必要数が減る
プログラミングの領域でも人間に代わってAIがコーディングを行うケースは増えている。たとえば米グーグルはAIがコードの25%以上をコーディングしていると明かしている。3月27日付「日経クロステック」記事によれば、富士通は銀行向けシステムのバージョンアップ作業において、互換性がなくなる部分を生成AIで抽出することで従来比で約65%の作業時間を削減したという。
セールスフォースは「Agentforce」の販売拡大のため24年に営業担当職を約1000人雇用する一方、23年には約7000人、24年には約1000人の人員削減を行い、25年も1000人以上を削減する。今後、日本でもAI導入が進むことによって、ITエンジニアの採用を減らす、もしくは採用を行わない企業が増えてくる可能性はあるのか。データアナリストで鶴見教育工学研究所の田中健太氏はいう。
「今ではAIが実用的なプログラムを書けるようになっていますので、上流工程で設計したものを下流工程でプログラムを書くだけの仕事というのは、今後減ってくるかもしれません。これまでプログラマーが行っていたことをAIがやってくれるようになるので、エンジニアの必要数が減るということはあり得るでしょう。
ノーコードやローコードといったことがいわれていますが、日本でも、これまでプログラマーが担ってきたコーディングをAIがやっているというケースは、会社によっては出てきています。上流工程を担う大手IT企業ほど、そういった生成AIの活用をしているかもしれません。海外ですとGAFAはプログラムの何割かをすでにAIが書いていると公表しており、『これまで人間がやっていた作業がこれだけ減ります』ということが見えるようになってくるかもしれません」