野村アセットマネジメントが運用し、「野村1兆円ファンド」と呼ばれる投資信託「ノムラ日本株戦略ファンド」が事実上、消滅する。2000年に鳴り物入りで投入され、野村グループが看板商品として販売に注力し、最盛期には1兆円もの資産規模を誇ったが、近年では残高が低迷。6月に「ノムラ・ジャパン・オープン マザーファンド」に併合される。なぜ野村グループ肝いりの投資信託が姿を消すことになったのか。専門家は「日本の個人投資家が勉強して知識が豊富になり、短期の利益に惑わされずに長期保有で手堅く稼ごうとオルカン(オールカントリー)、インデックス投資を選択するようになった面も影響している」と解説する。
登場した当時は証券業界で大きな注目を集め、野村グループが強い営業力を使って販売実績を積み上げたといわれるノムラ日本株戦略ファンド(以下、同ファンド)。野村アセットマネジメントの2月21日付リリースによれば、ノムラ日本株戦略ファンドの運用方針を「ノムラ・ジャパン・オープン」と同一のものにし、名称を「野村国内株式アクティブオープン」に変更。手数料である信託報酬を年2.09%から1.672%へ引き下げる。同ファンドの運用実績は2000年2月の設定来、ベンチマークとなる東証株価指数(TOPIX)を上回っておらず、野村は「商品分類ごとの競合比較でも低位な状況が継続してきました」「今後も早期の運用改善が難しいとの判断に至っております」と説明している。
TOPIXのパフォーマンスを超えられず
同ファンドはなぜ近年では販売が低迷していたのか。ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任し、現在もトレーダーとして活動する志摩力男氏はいう。
「デビュー当時の華々しさはよく覚えていますが、運用実績を見ると低迷していたようです。インデックスにリンクされたファンドではなく、アクティブ運用のファンドなので、基本的にはインデックス以上のパフォーマンスを目指すものであり、そのために手数料が高かった。上がっても上がらなくても年2%取られます。銘柄選択に関しては野村の目利きの力でもってということでしたが、結果的にTOPIXのパフォーマンスを超えられませんでした。
一般的に日本のアクティブファンドでよくいわれることですが、相場が高くなると人気が出てきて、投資家は買います。そうすると新規のマネーが高値のところで入るので、ファンドの規模が膨らむことになるわけです。一方で相場が不振になってくると解約する人が増えます。インデックスファンドよりも、ファンド自身が高値で買って安値で売るので、その分の損失が出て、ファンドのパフォーマンスに響いてしまいます」