これは将来的に、暗号やオンラインくじ、電子投票など「絶対にごまかしがあってはならない場面」で、安全かつ信用できる乱数をどう手に入れるかという問題に、量子こそが決定打になる可能性を浮き彫りにしました。
量子乱数が支えるデジタル社会のゆくえ

量子コンピュータが生み出すビット列は、本当に“量子的な乱数”なのか、そしてそれをリモート越しにどう証明するのか。
今回の研究の成果は、遠隔地にある量子コンピュータで大量に生成されたビット列を、超大型のスーパーコンピュータで厳密に検証し、「古典計算では再現が極めて難しい量子現象による乱数」であると高い精度で仕分ける仕組みを示した点にあります。
「量子を使えば予測できない乱数が作れる」とは以前から言われてきましたが、実際に第三者がどこまで厳しくチェックし得るのかという課題は残っていました。
今回の研究では、「量子コンピュータが短時間で大量のビット列を吐き出す能力」と「ランダム回路サンプリング(RCS)+XEBスコアによる検証」を組み合わせることで、古典計算での偽装がほぼ不可能な乱数が本当に得られていると実証しています。
この成果の応用範囲は広大です。
暗号、オンライン抽選、電子投票など、誰もがアクセスでき、誰にもごまかされない乱数が求められる場面での利用が期待されます。
量子ゲートの精度や実行速度を数値化する指標(XEBスコア)のおかげで、量子コンピュータがどの程度理想通りに動いているかを定量的に把握できるのもメリットです。
さらにビット数が増えたりエラー訂正技術が進めば、より大規模な乱数生成や、他の量子アルゴリズムへ展開が進む可能性があります。
また、この研究は「量子コンピュータが古典コンピュータをどこまで上回れるのか?」という根源的な問いにも新たな視点を与えます。