この調査は、対象者たちが生まれたときから、16歳・33歳・42歳と、複数の時点で追跡されており、母親の体型や喫煙習慣、父親の職業階級、子どもの出生順位、性別など、多数の要因が詳細に記録されています。
研究チームは、以下の3つの時点での肥満状況を調べました。
1:16歳時点での肥満・過体重
2:16歳時点では健康体型だった人が、42歳までに肥満・過体重になったケース
3:42歳時点での肥満・過体重
その結果、母親が肥満であった場合、子どもが42歳時点で肥満になる確率は、母親が肥満でない場合に比べて、約3倍にもなることがわかりました。
また、母親が1日10本以上のタバコを吸っていた場合にも、子どもが肥満になるリスクが有意に高まるという結果が得られています。
これらの傾向は、イギリスで肥満率が大きく上昇する前後の年代を通じて、一貫して観察されたという点も重要です。
つまり、母親の体型や生活習慣が子どもの将来の体型に影響を与える力は、時代を超えて長期的に持続することが示されたのです。
母親の影響を緩和するには?
母親の体型が、子どもの未来の体型に影響する。
この事実は少しショッキングかもしれませんが、同時に、早い段階での予防や介入が効果的であることを意味しています。
妊娠前からの健康管理、妊娠中の栄養と禁煙、産後の育児支援、そして運動習慣の促進など、多くの施策が子供の将来の肥満リスクを下げる鍵になります。
この研究は、親世代の責任を問うものではありません。
むしろ、個人に過剰な負担をかけず、社会全体で「健康な未来」を築くための知見として、重要な一歩になるはずです。

加えて、今回の研究では、個々人の努力次第で肥満は防げることも示されています。
具体的には、33歳時点での運動習慣が、42歳時点での肥満リスクに大きく左右していたことでした。
33歳時点で週4〜5回の運動習慣があった人は、まったく運動しない人に比べて、42歳時点での肥満になるリスクが約45%も低くなっていたのです。