大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドといえば、トマトを使うハンバーガーが少ないことで知られているが、有料でトマトをトッピングすることは可能だった。だが、今月25日に「炙り醤油風 ベーコントマト肉厚ビーフ」が販売終了となるのに伴い、トマトのトッピングの提供が終了となる。以前から一部SNS上では、マクドナルドで「チーズバーガー」(220円/税込み/店舗によって異なる)にトマト(40円)をトッピングすると(計260円)、250円高くて厚めのトマトやミートソースがウリのモスバーガー「モスチーズバーガー」(510円)に匹敵するクオリティになると話題になっていたが、そんな楽しみ方もできなくなる。コスパの良い最強アレンジとの評価も聞かれたが、実際にマクドナルドの「トマト+チーズバーガー」はどう評価できたのか。また、なぜトマトの使用をやめるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 全国約3000店を展開し、モスバーガー(約1300店)、ロッテリア(約300店)を大きく引き離し店舗数ベースでは圧倒的な業界1位となっているマクドナルド。2022年3月、9月、23年1月、7月、昨年1月に続き、今月には過去3年で6度目となる値上げを実施。全メニューのうち4割が10~30円ほど引き上げられ、定番メニューの「マックフライポテト S」は190円から200円に、「チーズバーガー」は200円から220円に改定された。

 そんな業界王者のマクドナルドだが、モスバーガーやバーガーキングが主力メニューに生のトマトを使用している一方、頑なにトマトを使用しないことでも知られていた。もっとも、これまではトッピングでトマトを追加することは可能で、前述のとおり「チーズバーガー」などにたった40円の追加料金でトマトを入れることで、驚くほど美味しくなるという声もあった。

ソースの一部となって具材を引き立てるためのもの

 飲食プロデューサーで南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏はいう。

「モスバーガーとマクドナルドは、同じハンバーガーでも、目指す方向が真逆といってもいいほど異なります。モスバーガーは、パティもバンズもふわふわと柔らかく、かつしっとりとしています。特に看板商品の『モスバーガー』は、そこに溢れるほどのソースと厚切りのトマトが加わり、さらにジューシーかつ旨味もたっぷり。日本人の嗜好に徹底的に寄り添う商品設計といえるでしょう。子どもからお年寄りまで食べやすい味わいです。

 それに対してマクドナルドは、みっしりと肉感の強いパティが主役です。その他の要素は、歯切れ重視の極めてシンプルなバンズをはじめ、あくまで肉の味をとことん引き立てるために計算されていると感じます。文字通り『硬派』な作りです。

 マクドナルドのセルフオーダーでひっそりとサジェストされてきた『トマト追加』のオプションには、以前から気が付いてはいました。しかし個人的には、それによってせっかくの牛肉パティのおいしさが薄まってしまうのでは、と懸念してしまい、ずっとスルーしてきました。しかし今回あえてチーズバーガーにこのトマトを追加してみて、結論からいえば、大成功でした。チーズバーガーには、当然ケチャップが挟まれており、いうなればこれが『味付け』の主役です。そこにフレッシュなスライストマトが加わることによって、そのケチャップがワンランクもツーランクも上質なソースに化けた感覚を覚えました。トマトはモスバーガーほど厚いものではありませんでしたが、それが結果的にはベストのバランスをもたらしていたように思います。この追加トマトは、具材というより、『ソースの一部となって具材を引き立てるためのもの』と認識すべきな気がします。『肉の味が薄まるのではないか』という懸念も取り越し苦労でした。ケチャップだけのときより、不思議と牛肉の味わいを強く感じました。

 先ほど書いた通り、マクドナルドのハンバーガーは、硬派な作りです。肉そのもののシンプルな味わいを重視する人は積極的にこれを選ぶとしても、本音ではもっとジューシーで食べやすいものを求めている人が、価格の安さにひかれて(ある意味妥協して?)選択しているケースも決して少なくないと思います。そういう方たちにとっては、この追加トマトは、たった40円で望んでいる味に近づけることができる裏技としても活用できたかもしれません。しかしその方向性を求めるなら、やはりモスバーガーに分があるのも確かだとは思います」