この研究が進めば、いずれは「蚊の多い地域に行く前に、ニチシノンを一錠」という時代が来るかもしれません。
子どもや妊婦のマラリア対策、観光地・紛争地での予防策、災害時の感染拡大防止など、活用の幅は計り知れません。
こうした対策は世代交代の早い昆虫にとって、人間の血を吸わないという進化を促す可能性さえあります。
そしてなによりも感動的なのは、本来は数万人に1人しか使わないような薬が、数億人を救う可能性を持っていたという事実です。
科学とは、本当に予想外の場所から革命が生まれるものです。
もしかしたら次の夏、あなたの血が蚊にとって“毒”になる日が来るかもしれません。
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参考文献
Drug For Rare Disease Turns Human Blood Into Mosquito Poison
https://www.sciencealert.com/drug-for-rare-disease-turns-human-blood-into-mosquito-poison?utm_source=reddit_post
元論文
Anopheles mosquito survival and pharmacokinetic modeling show the mosquitocidal activity of nitisinone
https://doi.org/10.1126/scitranslmed.adr4827
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部