特に印象的なのは、SNSの議論に関する指摘だ。近年、SNS上では「論破して相手を黙らせること」が目的化し、議論の本質が見失われがちである。本書は、その風潮に一石を投じ、「メタ正義感覚」を持って相手の意見の背景を理解しようとすることで、より創造的で実現可能な解決策が見えてくると説く。この視点は、多くの人が気づいていても実践できていない点であり、本書はその具体的なアプローチを示している点で大きな意義がある。
本書は、「メタ正義感覚」を活用して、家庭、企業、政治といったあらゆる場面で、対話と協力を基盤とした新しい議論の形を提案している。日本人が、過去の議論の混乱を乗り越え、より創造的な問題解決を実践することで、世界の分断を乗り越える可能性を持っていることを示唆しており、その視点には大いに共感できる。
敵を論破するのではなく、相手の意見の意義を理解し、双方が納得できる解決策を探ることが、人類の未来にとっても重要であると結論づける本書は、多くの読者にとって有益な示唆を与える一冊だろう。
論破という病 「分断の時代」の日本人の使命
序章 第1章 「メタ正義感覚」とは、何であって何でないのか? 第2章 過去20年不調な日本だからこそできること 第3章 日本が「カイカク」できなかった本質的な理由 第4章 日本において本当に「カイカク」を実現するには 第5章 日本人の給料を上げるための一貫した戦略について 第6章 ケーススタディズ 終章 あなたにも創れるメタ正義の種