第一話扉絵(右側)にあった、めがねっ娘のねじ巻き鍵が、第二話扉絵(左側)でも出てくる。

ねじ巻きおもちゃは、誰かがねじ巻きするからこそ動き出す。右の絵ではひげ男性が、この子を作動させたのだろうと想像をかきたててくれる。が、左の絵では、下の三人を作動させたのはたぶんこのめがねっ娘だろうと想像させる。

彼女の頭部が、網目からはみだしている。これは、この子がこのまんがを統括する、すなわち主人公として物語世界を統べるぞという映像的宣言である…

…と早とちりしてはいけない。「ジャンプ」掲載時には彼女の頭にそって「Dr.スランプ」とタイトルが出ることを鳥山は計算に入れて…

主役は博士であると視線誘導で強調。

最終頁の最終コマにも注目。

第一回ラスト(下図)と反転している。

わかるだろうか? 鳥山先生にすれば「まさにドクタースランプですわあっはっはっ」とオチをさく裂させているのだ。

彼の中では主役はセンベイ博士だったのである。

これが鳥山マジック

第三回もそう。

この扉絵にタイトルが入ると…

最終コマでも全員の視線が博士に集まる。まさに「ドクタースランプ」だよと。

こう分析していくと、アラレ(メガネの女の子)を主役に置きたい鳥嶋と、ひげのおっさん(ドクタースランプ)を主役と考える鳥山先生とで、綱引きがしばらく続いていたのがうかがえる。

April 5 1955 – March 1 2024