このおっさんが目玉をむき出しにしていたら、それは何かギャグやってますと読み手に学習させるためだ。

やたら目玉が飛び出る理由

ページをめくると、念押しが来る。女の子がカメラ目線でアカンベーしている姿でドカンと笑いが来て、それにおっさんが目玉を出してたしなめる。

この彼が目玉を出したらギャグやってますと念押ししているのである。

おかげで次のページで、この二人の掛け合い漫才が堪能できる。日本語が読めなくても、だ。

ギャグまんがは、台詞オンリーでは成り立たない。といって台詞に頼らない笑いは、あまり幅が出ない。そこで「目玉が飛びでたらそれは何かギャグやってますよの合図」と読む側には早めに呼吸をつかんでもらう。

そうすれば、台詞をいちいち追わなくても、視覚的に「ああ何かギャグやってるな」と即時に反応して、そしてコンマ数秒遅れで吹き出しに目を送って「ああなるほどそういうギャグか」と理解して、脳内で整合して大笑いが発生する…

ボケとツッコミ

ページをめくろう。彼の目玉露出が、だんだん大仰になっていくけれど…

女の子のほうは、目玉に変化が起きない。

博士の目玉がどんどん派手になっていくのと、彼女の目は変化しない様が、交互に現れる。

これは漫才のボケとツッコミの漫画記号的表現だ。彼がツッコミで、女の子がボケ。

眼鏡をかけさせた本当の理由

さらにここに注目。①メガネが出てきて、②それを掛けると、③ちょっぴりだけ彼女の目が反応する。

最後のコマ、拡大してみよう。「びっくり」の漫画記号がそっと添えられている。

彼女のほうのびっくり目玉(赤マーク)は控え目、おっさんの目玉は派手(青マーク)。

さらには大口を開けている。

女の子(ボケ)とおっさん(ツッコミ)の漫才構図がここでも保たれているのである、よりパワーアップして。

この子(この時点では名無し)に眼鏡をかけさせた理由について、作者の鳥山は「近眼のロボットというのは笑いが取れると思っただけで特に理由はない」と振り返っているが…