そんな、中村さんは、なんと「コミュカ」を武器に、仕事を続けています。もがいて苦しんだからこそ、身につけることができた「コミュカ」なのでしょう。

普通がむずかしいという話

中村さんは幼いころより体が弱く、癇癪や、過剰に集中し過ぎてしまう「過集中」、さらには物忘れがひどく大変な毎日を送ってきたそうです。大学受験では過集中がプラスに働き、偏差値40を70まで上げて志望大学(同志社大)に合格するも、入学後は華やかな学生たちに馴染めませんでした。

ところが、「過集中」がプラスに働いて、「声の世界」へはいることになります。ナレーターの道を勧められ、大学卒業と同時に現在の事務所に所属しました。ナレーターには高い集中力が必要とされますが、短所を長所として活かしながら活躍している点が興味深いところです。

発達障害を持つ人は、集中力を発揮したり、記憶したりといった、ほかの人にはない得意な能力も兼ね備えていることが多いのです。環境を調整し、上手に工夫して、苦手な部分を補うことができれば、その力をいかんなく発揮し、素晴らしい成果も残せます。

中村さんのファンが急速に増えています。その理由を考えると、中村さんが自身の経験を率直に語っている姿勢が多くの人々の共感を呼んでいるのだと思います。本書は約300ページあり、非常に充実していてコストパフォーマンスも高い大作です。

しかし、以下の点に注意が必要です。

本書の主な読者層は、日々の生活に疲れているビジネスパーソンであると考えられます。精神的に疲れている人にとって、300ページは多すぎるかもしれません。マンガ風の図版を挿入して内容を圧縮し、より読みやすくしたほうがベターだったように思います。

本書の完成度と内容の充実度は評価できますが、読者の視点をもう少し意識すればさらに良かったと思います。それでも十分に評価できる内容ですので、星4つとしました。

皆さん、ミスを少なく、成果を出せる方法をこの機会に学びませんか。