コンサルタントの費用の妥当性
今回話題となっている神戸女学院大学のケースは、どうとらえるべきか。
「のちに重要文化財となるような建物を取り壊すというのも、古くても価値がある建物を残して他のことを変えるというのも選択肢の一つであったと推測できます。大学は上場企業ではないので短期の利益追求が必ずしも最重要ではなく、オーナーや関係者の納得性の高い選択肢を選んでやり切る(失敗だと思ったら早めに切り替える)ことが重要です。このコンサル会社の役割は、大学の関係者が考え付くようないくつかの選択肢のなかで、どれを選ぶことが関係者にとっても最も納得性が高いのかを示すことだったと考えられます。納得してもらうためには、単に儲かるかどうかという経済合理性だけでなく、関係者が抱く価値観も大きく影響します。儲かるか儲からないのかという点だけで判断しないということは、企業経営においてよくあることです。
このコンサル会社がさまざまな情報を調べたり関係者に話を聞いたりしているうちに、関係者の価値観が経営判断に大きく影響するということは、すぐにわかったのではないでしょうか。その時点で、きちんとクライアントの意思決定者に確認するか、いったん意思決定をはかってもらうなどするのが当然の対応になります。それを怠っていた可能性や責任があると推測されます。一方でクライアント側でも、中間報告などを通じて担当者が『これはモメそうだ』と感じた時点で、内部の意思疎通をはかっておくべきでした。それが抜けていた可能性も考えられます」(中沢氏)
1年で2000万円という費用については、どうか。
「コンサルタントの費用の妥当性について、客観的な水準はありません。『時給●円のコンサルが●時間くらいコミットするので●円になります』と費用見積を提示することはよくありますが、根拠はありませんし、いい加減なものです。唯一正しい水準は『それまでの提案や議論を通じて、クライアント側がいくらまでなら払っていいと思ったか』だけです。ですので、お金に余裕のあるクライアントであればたくさん払いますし、ないところは渋ります。
費用対効果についても、成果の1つに納得性が絡むので、誰もが共有できる計算は成り立ちません。仮に『2000万円のコンサルタントを雇って、1億円の効果のある施策を進められた』という事実があったところで、そのまま受け止める人もいれば、『でも将来的に2億円の損が出る』と思っている人がいたら、その人にとっては費用対効果はマイナスになります。将来のことなど誰にもわかりませんから、関係者の納得感をどこまで醸成できるかということが絡みます。費用対効果を真の意味で計算したいと考える会社は、コンサルを起用しないほうが良いでしょう。『いったんコンサル費用はドブに捨てたつもりで使うから、その後の効果をみんなで頑張って出そう』と考えられる企業だけが起用すべきです」