【外食業界のリアル・18】外食業界では予約経路が細分化しており、グルメ媒体や自社サイト、Google MAP、LINEなどがあるが、さらに増えつつあるのが実情である。飲食店はそれらを網羅的に対応する必要があり、運用負荷が増している。そのため、飲食店ではサイトコントローラー付きの予約台帳を活用していくことが避けられなくなっている。今回は、飲食店の予約とサイトコントローラーについて語りたいと思う。

飲食店予約とサイトコントローラー、時代に合わせて進化
(画像=『BCN+R』より 引用)

サイトコントローラーとは何か?

 サイトコントローラーとは「グルメ媒体」「自社サイト」「Googleビジネスプロフィール」「LINE」などの各予約経路において、在庫を一元管理するためのものとなる。飲食店では複数のグルメ媒体を活用し、自社サイトやLINEなどからも予約を受け付けているケースが多い。グルメ媒体では媒体間の横連携がないために、予約が入ってくると他の媒体の在庫を自身で調整する必要がある。

 また、予約がキャンセルされた場合に自媒体は問題ないが、他の媒体は在庫を増やすなどの作業が必要になってしまう。新規の予約以外に既存予約の変更(人数や時間帯、コースなど)やキャンセルなどが随時発生している。媒体のネット予約で入ってきた予約も変更やキャンセルについては電話でくることも多い。そうすると店舗の担当者が媒体にログインして変更やキャンセルの処理をしないといけなくなってしまう。

 それらを人の手でやると工数がかさんでしまうために自動化することが求められる。それがサイトコントローラーなのである。

 グルメ媒体では予約金額に応じたポイントを付与されるが、ノーショーや電話できた変更やキャンセルについては店舗側で対応しないとユーザーにそのままポイントが付与されてしまい、余計な費用が発生してしまうことになる。サイトコントローラーでは台帳上で操作することで、各媒体へ反映することも可能になっている。

 もちろん、サイトコントローラーは複数社が提供しており、どの媒体をどの処理まで自動化できるのかは差異があるので注意が必要である。

 忘年会シーズンなどの繁忙期では、飲食店のキャンセル処理忘れを狙った予約が発生する。様々な店舗で空予約をたくさん入れて、飲食店の対応が漏れたことで付与されたポイントをためていくのである。そういった損害を防ぐためにもサイトコントローラーは重要となってくる。

飲食店予約における重要な要素

 飲食店の予約で店舗側は「連結席」「席タイプ」「回転」を意識している。

 連結席とは複数の席を組み合わせることで、4人テーブルを2席つなげると8人まで可能になり、3席つなげると12人…のように大人数の予約を取れるようにする。そのため、予約が入ってきた際にどこに配席するのかをしっかりとコントロールすることが重要となる。2人の予約が入ってしまったため、20人の予約が取れなくなるなどの機会損失になる可能性があるため、台帳で連結席や配席の優先順位などをきちんと設定しておく必要がある。

 席タイプとはカウンターやテーブル席、半個室、完全個室などの席の種類を指す。どの飲食店でも、個室が人気となるためにしっかりと分けて管理することが重要となる。媒体によっては個室限定予約もあるため、単に席数だけではなく席タイプでの在庫管理が必要となる。また飲食店のトラブルの一つに「個室」で予約をしたはずなのに「個室」ではなかったということも多く、注意が必要となる。

 回転とは、各席にお客様を何回案内できるのかという回数を指す。多くの来店客を案内することで売り上げがアップするため、いかに回転させるのかは重要となる。17~19時、19時15分~21時15分、21時30分~といった形で同じ席に3回転の予約を入れるのが理想的ではあるが、来店客の予約したい時間帯というのは偏っているので難しいのが現実的である。

 そのため、早い時間帯や遅い時間帯は値引きをするなどの特典を用意することで少しでも回転数を増やそうとしているのである。繁盛店では台帳のタイムテーブルがびっしりと埋まっている。