航空会社のショックの一つは、コックピット内の安全強化が裏目に出たことだ。米国内テロ多発事件後(2001年9月11日)、航空会社はさまざまな対策に乗り出した。その一つはコックピットへの第3者の侵入を阻止するためコックピットを内から閉じるシステムを導入したことだが、ドイツ機墜落の場合、この技術的改善が機長をコックピットに入れさせず、副操縦士の狂気の計画を可能にさせたからだ。
他の重大な航空事故と同様に、ジャーマンウイングスの墜落事故でも、安全規制の改善の可能性が検討されたが、航空医師、個人、さらにはルフトハンザの航空医療サービスも含め、誰も刑法では有罪ではなかった。被害者の親族の一部は連邦航空局を相手に民事訴訟を起こしているが、まだ審理は行われていない。
仏日刊紙リベラシオンは当時、「技術は発展したが、その技術を管理するのは依然、人間だ」と報じていた。航空技術の発展、安全管理の強化で技術の欠陥による事故は限りなくゼロに近くなったが、ドイツ機の墜落は、安全管理の主役は「技術」ではなく、「人間」にあることを改めて示したわけだ。
以上、10年前のコラムを参考にドイツ機墜落事故を振り返ってみた。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年3月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。