米の価格高騰や転売目的での業者による買い占めなどが問題となっているなか、フリマアプリ「メルカリ」で「米」の検索結果一覧ページや個別の出品ページに「米の流通状況に関して、政府・行政機関の発表をご確認いただき、販売や購入においては冷静なご対応をお願いいたします」との注釈が記載されるかたちで、米の販売が継続されていることが議論を呼んでいる。一部SNS上では「禁止すべき」「転売の温床になっているのではないか」「注意喚起はしたので、購入は自己責任という意味か」といった声もみられるが、メルカリは今後も米の取り扱いを継続する予定なのか、また、米の出品者の登録審査はどのように実施しているのか。運営会社に聞いた。
昨年8月に南海トラフ地震臨時情報が発令された頃から、米の値上がりが顕著となっている。2023年産米の不足と値上がりの影響で、24年産米でJAグループや業者の間で集荷競争が生じ、さらに価格は上昇。24年の新米の同年9月の相対取引価格(JAグループなどから卸会社への販売価格)は、全銘柄の平均価格が前年同月比48%高となり、06年の調査開始以来過去最高を記録。スーパーなどの店頭での5kg入り一袋の価格は、前年同月比の1.5~2倍、約1000円高というケースも珍しくない。
政府は価格高騰を抑えるため、今月14日に最大21万トンの政府備蓄米の放出を決定。これにより3月以降は価格が下がり始めるという見方もある一方、今年6月末時点での米の民間在庫量の想定は158万トン(農林水産省発表)と、前年同月とほぼ同水準となっており、価格上昇は解消されないとの見方も出ている。
「利用状況に応じて対応等を検討してまいります」
24年産米の作況指数は平年並みを示す101(農水省発表)となっており、仮にこの公表値が正しければ米の収穫量はそれほど落ちていないことになるが、価格高騰の大きな原因になっていると指摘されているのが、米の流通とは無関係の業者による買い占めだ。値上がりを期待して転売目的で大量の米を買い占めるというものだが、建築業者やスクラップ業者が通常より高い金額で買い占めを行うケースも報じられている。そうしたなかで、メルカリ上では高値で米が出品されるケースもみられ、高値での転売を助長しているとの指摘も出ていた。
そしてメルカリでは現在、米の検索結果一覧ページや個別の出品ページに前述の注意書きを記載しながら販売を継続しており、さまざまな声が寄せられる事態となっている。Business Journalの取材に対し、メルカリは次のように説明する。
「米については、昨今の流通状況を踏まえて、以下の内容で販売または購入する際に冷静なご対応をお願いする注意喚起を実施しております。
『米の流通状況に関して、政府・行政機関の発表をご確認いただき、販売や購入においては冷静なご対応をお願いいたします。』
現状、出品数及び出品者数については例年と変わらない状況となっておりますが、今後も利用状況に応じて対応等を検討してまいります。
なお、米に限らず製造や販売にあたり、法令上許可・届出等が必要な商品について、許可・届出等なく当該商品を出品することを禁止としています。禁止行為に該当すると合理的な理由に基づき判断した場合は、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置を実施しております。