こうした矢継ぎ早に繰り出される政策は、1年半後に議会中間選挙を控える中で、議会多数派を維持して4年間のトランプ2.0の政権運営を確実にするために必要であり、少々強引な政策でも「行けるところまでまず行く」ことで成果を早期に(選挙までに)顕在化させるという方針の下、実は周到な準備に基づいて意図的に進められているとの見方をする向きが多かった。

日本は“MEGA”の時代にどう応じるのか

はたして日本はこのトランプ2.0とどう付き合っていったらよいのだろうか?

まずは表面的な事象や雑音から距離をおいて、その求めている政策の方向性の本質について、じっくりと向き合って分析、解釈をしていく必要があるのではないか、というのが筆者が米国で抱いた率直な感想である。

ウクライナをめぐるロシアと米国の駆け引きや、パレスチナ・ガザを巡る米国の駆け引きもそうした大きな文脈で見ていく必要があるのかもしれない。

BlackRockのフィンクCEOのストラップに刻まれた「Make Energy Great Again(MEGA)」は、19世紀に欧州(英国)で始まった産業革命を国産化石燃料(石炭・石油)の生産拡大によって運輸・生産革命を引き起こし「石油・化石燃料文明」に昇華させることで、20世紀を「米国の世紀」とならしめた米国の再来を希求しているのではないか?

このMEGAというスローガンは、21世紀に入って米国が再びその潤沢なエネルギー(天然ガス・原子力・革新技術)によって世界の覇権を確立し、「21世紀も米国の世紀」にするという壮大な世界戦略を示唆・象徴しているのかもしれない、というのはいささか考えすぎだろうか。