本格的になったのは今年に入ってからで大型経済パッケージを発表し、李強首相もようやく首相としての声を出すようになったのです。日本との関係も石破首相になったころから着実に良化しており、かつてのケンカ腰の姿勢から議論のやり取りに変わってきています。これは石破氏が取り組みやすいこともありますが、アメリカとの関係を考えた時、中国にとって日本が戦略的国家になるのが自明だからでしょう。
多くの経済アナリストは中国はまだ駄目だ、としています。データからすると確かに厳しいと思いますが、それはかつての2桁成長の時代と比べるからだろうと思うのです。中国が置かれている環境は中国バブルの頃とは無縁で再構築の過程にあるとみています。その中で中国製品が世界で売れつつある点は見逃せません。
中国の輸出は過去最高水準にあり、自動車、工業品、半導体などが伸びています。アナリストは25年はトランプ関税により伸び悩むと予想していますが、むしろ逆でアメリカを回避する動きが出てくれば中国製品に代替特需が生まれる公算があるとみています。特にBYDにみられる自動車産業の伸びが著しいことは経済のファンダメンタルの強化としてはプラスです。
また、上海株価指数をみると24年9月に二番底を付けた後、政府の経済対策の発表などもあり、大きく上伸し、その後も堅調な動きになっています。海外アナリストは昨年あたり「中国株は底で買い」を推奨し続けていましたし、個別銘柄を見ても確かにそこから既に2-3割上昇している銘柄が増えてきています。
政府が引き続き経済のテコ入れを続ければ日本が30年近く苦しんだ失われた時よりも早く復活する公算はあるとみています。ただし、先々GDPが今年目標の5%を大きく超えるような話ではなく、中成長から安定成長の時代に推移するという意味です。先進国の成長率が2-3%前後だとすればいずれそこに収斂すると思いますが、巨大国家だけに年数%成長するだけでも大きなインパクトになるでしょう。