となると、誰が平和部隊を派遣するのか。本来ならトルコ等もいいのだが、あいにくNATO加盟国だ。インドとかアフリカ諸国も加わってもいいのだが、それだけでは、不足だ。

というわけで、中国の参加がクローズアップされている。ドイツ紙ウェルトの電子版は、平和維持部隊に、NATO本部のあるブリュッセルに駐在する中国外交官が、EUに中国の部隊参加を打診してきたのだという。

習近平国家主席・石破茂首相

ロシアが中国がウクライナに接近することを好むとは思わないが、ありえない話ではない。となると、バランスを取る意味でも日本や韓国、オーストラリアなどがどうするかが問題になってくる。

私は日本は具体的に検討して、場合によっては迅速に派遣できる準備をした方がいいと思う。ウクライナからすれば、NATOではないが米国の同盟国である日本や韓国、オーストラリアなどの参加は歓迎されるはずだ。

中国の参加も、各国にとってそれぞれ微妙だが、ありえないわけでない。まったくの中立国だけでは、こころもとないなら、親米・親露の両方を入れてバランスを取るしかないからだ。

また、各国にとってそうだが、最新兵器による近代戦が繰り広げられたウクライナの戦地に休戦後にしても部隊を派遣して、戦いの後をつぶさに観察したり体験談を聞くことの意味は大きい。

なにしろ、北朝鮮は武器をロシアに輸出し、軍隊に参戦させたことで、武器の性能も上がっただろうし、韓国がベトナム停戦から50年ほどの戦闘経験なしだったのに対して朝鮮戦争休戦から70年以上も平和だった北朝鮮軍はハンディがあると見られていたのが、完全に覆されたとみられる。

日本では余り報道されないが、北朝鮮軍は損害も出しているが強力で、ロシアのクルスク州奪還の原動力になったし、学習能力も高かったようだ。

それに、日中が一緒に平和維持にあたることは、意思疎通の改善を通じて、アジアにおける偶発的な衝突防止に役立つと思う。対立しているから共同訓練や行動をしないというのは間違っている。