ウクライナ停戦の条件は、領土と避難民の帰還、ロシアとウクライナ双方にとっての安全保障、戦後復興と経済制裁の解除ということになる。
領土については、いま占領している土地からロシアが大きく撤退することは現実的でないから、ロシアの領土と認めるか、事実上、黙認するしかないだろう。理想的にいえば、ウクライナに戻してロシア系住民の権利保護や自治を認めることだが、いまさら難しい。
せいぜい、ウクライナは返還要求はしつつ黙認することにするしかない。韓国だって南北統一はひっこめないまま70年以上、大人しくしている。
安全保障については、ウクライナだけで無く、ロシアもそれを要求するだろうし、それは不当なことではない。そもそも、NATOを東欧に拡大しないといっときながら、法的約束でないといってバルト三国や北欧までいれて、さらにウクライナなどにまで手を伸ばしたら、追い込まれたロシアが暴発したのだ。いてみれば、「無理な地上げで土地を集めようとしたら反対する地権者から、買収に応じた地権者が暴力を振るわれた」ようなものだ。暴力は不法だが、法律ギリギリで強引な地上げをしようとしたことが正しかったわけでない。
一方、ウクライナは欧米の援助も保証されないまま、丸腰で停戦ではたまったものでない。
どちらにしても、戦争をロシアがはじめた原因がNATO加盟阻止だったのだから、東部と南部の四州とウクライナがロシアに差し出した程度では、ロシアが承知するはずない。
とりあえずは、アメリカの・ウィトコフ特使がいているように、「ゼレンスキー大統領と彼の右腕のイェルマーク大統領府長官は、NATOに加盟しないことをほぼ認めたと思う」というように、少なくとも停戦条件のなかでは、とりあえず、NATOに加盟しないことや、NATO加盟国を平和維持部隊には原則として入れないようにするしかあるまい。
また、停戦が実現した後の、欧米からウクライナへの武器や軍事情報の提供はなんらかのかたちで抑制されたものにするべきだ。