今回の研究は、単に新しい銀河を「数えた」だけではありません。

矮小銀河の「数」と「分布」は、宇宙の構造形成や進化に関する理論、特にダークマター(暗黒物質)に関する宇宙論モデルを検証する上で非常に重要な手がかりを提供してくれます。

これまでの理論では、暗黒物質が小さな重力の種となり、そこにガスが集まって矮小銀河が形成されたとされています。

そのため、矮小銀河が宇宙にどのくらい存在し、どのような分布をしているかを明らかにすることは、暗黒物質が宇宙をどう形づくってきたのかを検証する上で、きわめて本質的な意味を持ちます。

さらに矮小銀河は今も新たに形成され続けているのか、それともすでに形成は終わっていて、環境によって変化していくのみなのか、といった疑問もあります。

今回の研究結果は、こうした矮小銀河にまつわる疑問を解き明かす貴重な情報源となり、さらに今後、同様のデータを積み重ねていくことで、宇宙の形成史を立体的に描き出すことができるかもしれません。

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参考文献

Thou­sands of dwarf gal­ax­ies dis­cov­ered
https://www.uibk.ac.at/en/newsroom/2025/thousands-of-dwarf-galaxies-discovered/

元論文

Euclid: Quick Data Release (Q1) — A census of dwarf galaxies across a range of distances and environments
https://doi.org/10.48550/arXiv.2503.15335

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部