一方、この外国人ブームは当然ながら自国に戻った後、旅行談義としてローカルの方同士で語られることで更に盛り上がります。そんな中、先日、 BC州の大臣を長く務めた後、先般リタイアした方と談義していたのですが、「私も日本には仕事では何度か行ったけど、今は行きたくないな」と。珍しい意見だと思い「なぜ?」と聞き返せば「外国人で混みすぎだよ。昔はもっと静かで落ち着いた感じだったけどね」と。人それぞれです。「でも落ち着いたらぜひ行きたいな」と。「Youのお好みはどちら?」ときけば「四国でお遍路、30日コース」だとか。これには参りました。

ただ、彼のいう混みすぎというのはとても同意です。京都や奈良の楽しみ方は静寂や侘び寂び、つまりつつましく質素さの中に日本のテイストがあったりするものです。私は浅草浅草寺とか鎌倉の小町通りにはよほどでないと行かないのは趣を感じられず「人の流れに身を任せ」ただただ人流に乗るだけ、というのが苦手なのであります。唯一明治神宮には毎回必ず参拝するのですが、こちらもざっくり6-7割は非日本人。それでもあそこは参道も広いのでそれほど気になりませんが、年に1-2度用事で通るJKの天国、原宿竹下通りは外国人に乗っ取られた感があります。

日本がなぜここまで海外旅行のメッカとなっているのか、ふと思うのは上述のフランス人女性のように滞在すればするほど良さがわかるスルメの様な国なのではないかと思うのです。お前、カナダ好きなんだろう、と聞かれれば「はい」と答えます。でもそれは「住めば都」という感もあるし、私は緑豊かなこの環境に惚れているのです。一方、日本の良さはグルメや観光地に限らず、政治的安定感、日本人の思想や優しさ、丁寧さ、礼儀作法やマナーを含めて国民全体が持っている良識度の高さ故ではないかと思うのです。

海外ではアメリカやフランス、ドイツ、韓国など、国を二分するような議論が日常茶飯事展開されています。一方、日本は成熟国として幸福を国民全体が訴求する社会だと思います。先般、世界幸福度ランキングが発表され、日本は55位だったのですが、これは幸福の尺度が違うからで参考程度だと思います。日本的なライフスタイルが外国人のハートに着実に浸透し、理解が深まっていけば「日本式平和と幸福の歓び」としてユニークな立ち位置となるでしょう。