(ちなみに薄くスライスする程度であれば、ヒトデは死なずにその部位を再生できると注意書きされている)

そして次に、ヒトデの体内のどの場所でどんな遺伝子マーカーが発現しているかをマッピングしました。
その結果、これまで「腕」と考えられてきた5つの部位は、実際は「頭」であることが判明したのです。
端的に言って、ヒトデの体はほぼすべてが頭部に関連する遺伝子を発現しており、頭が5つに枝分かれしているような状態にありました。
他方で、左右相称動物に見られる腕や胴体を発現する遺伝子がほとんど存在していなかったのです。
これを受けて、研究主任のローラン・フォーマリー(Laurent Formery)氏は「まるでヒトデが胴体を完全に失っているかのようでした」と指摘。
つづけて「頭だけが海底を歩き回っていると表現するのが最も適切だと思われました」と話しています。
まさにヒトデは”歩く頭”だったのです。
となると、スポンジボブに登場する「パトリック・スター」はすべての突起に目と口を付けないといけないかもしれません。

本研究の成果は、ヒトデがその進化の過程で胴体を形づくる遺伝子を失くしたことを示唆しています。
同チームの一人で英サウサンプトン大学(University of Southampton)のジェフ・トンプソン(Jeff Thompson)氏は「私たちの研究は、棘皮動物のボディプランがこれまで考えられていた以上に複雑な形で進化しており、これらの興味深い生物について、学ぶべきことがたくさんあることを示している」と述べました。
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参考文献