ラッピング広告は迷惑千万
3月20日朝、郵便箱から新聞を取り出そうとしたら、日経新聞が見当たらない。探してみると、いつもの日経朝刊が4㌻の新聞カラー広告で表から裏までラッピング(包み紙)して、配達されていました。新聞記事がすっぽり広告で包装されており、ラッピング広告(写真)と呼ばれています。

日経新聞本社 同社HPより
「あれっ、新聞がない」、「記事より広告を優先するのか」と、読者が反応しますので、評判はよくありません。よほど経営が苦しい時にカネ欲しさの誘惑に負けて渋々、うつのでしょう。ネット検索しますと、昨年夏、同じ日経ですか、お茶の伊藤園が広告主のラッピング広告がありました。読者にとっては、迷惑極まりないラッピング広告です。
今回の広告主はヴァンクリーフ(パリの大手宝飾店)でネックレス、指輪、ペンダント高額な宝飾品を扱っています。春は卒業、就職、結婚祝いのシーズンですから、そのタイミングを狙ったのでしょう。日経のホームページをみますと、1㌻大の広告(全広)の料金は約2500万円とありますから、4㌻で1億円です。広告料金はかなり変動するにしても、経営上はほくほくです。
若者はこの種のものはネット検索で見つけますから、ラッピング広告は見向きもしないでしょう。そんなものにカラー印刷で4㌻も使う。紙、印刷、インク代の無駄使いです。高齢世代の親向けが狙いで、子女の祝い用に買ってもらうのかもしれません。
新聞経営が苦しいほんの一例で、全国紙の新聞広告収入は2023年が3510億円で、10年前の2013年の5960億円の半分に激減しています。広告スペースも減り、広告段数は23年が402万段、13年が533万段です。段数が半減していないのに、広告収入が半減しているのは広告単価が相当に落ちているのでしょう。
24年の総広告費は7・67兆円で、ネットが2・65兆円(前年比9%増)、新聞・テレビなどマスコミ4媒体合わせて2・33兆円(0・9%増)ですから、ネット広告の一人勝ちです。若い世代はまず新聞を定期購読していないから、4媒体の広告は見ない。新聞の読者は70代が中心ですから、新聞広告はほとんどが高齢者世帯向けにしてあります。そうした新聞をに若い世代はますます読まないという悪循環です。