■18世紀中期の謎の文書「コピエール暗号」の解読に成功
地中海のクレタ島南岸のファイストス宮殿遺跡の内部で発見された「ファイストスの円盤」に刻まれた文字や、1912年にイタリアで発見された古文書「ヴォイニッチ手稿」などと並び、専門家にも極めて解読が難しいとされた文書に「コピエール暗号(Copiale Cipher)」がある。
コピエール暗号は旧東ドイツで発見された豪華な装丁で綴じ付けられた105ページ、7万5000文字からなる手書きの文書であり、18世紀中期に書かれたものだとされている。1ページ目に所有者の名前と思われる「Philipp(フィリップ)1866」という表記と、タイトル的に「Copiale3」という文字が記されていることから、コピエール暗号と名づけられた。
問題なのは書かれている文字で、アルファベットと記号が組み合わされた文字で綴られた文章がいったい何語で書かれているのかまったく不明であり、当初は解読の糸口すらつかめない厄介な代物であったのだ。

(画像=「コピエール暗号(Copiale Cipher)」の16~17頁 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)
しかし2011年に、南カリフォルニア大学のケビン・ナイト氏やスウェーデンのウプサラ大学の研究者らによる国際的な合同研究チームが、コンピュータを使った統計的な暗号解読技術を駆使して文書の一部の解読に成功した。
研究チームは最初はどうしてもなじみのあるアルファベットの部分に注目して解読を試みていたのだが、残念ながら見当違いで、記号を使ったドイツ語であることを突き止めてから解読が進展した。最終的に同音換字暗号(Homophonic substitution cipher)であることがわかり、複雑な換え字のパターンを統計学的手法で解析して解読に漕ぎつけたのだ。ではそこに何か書かれてあったのか?