研究者らはこの光景に驚きを隠せませんでした。
というのもアオザメとタコは同じ海に住んでこそいるものの、普段の生活エリアがまったく違っているからです。
アオザメは外洋性であり、広い水中を悠々自適に泳ぐ生活をしているのに対し、タコは海底にとどまって地面密着型の生活をしています。
それにも関わらず、このタコは何食わぬ顔でアオザメの背に乗って移動していたのです。
サメの方もタコを気にするそぶりも見せず、マイペースに泳いでいました。
ただしタコはすべての脚を小さくまとめて目立たないようにし、しっかりとサメに吸着していたようです。
これはおそらく、アオザメが本気を出して泳ぐと、タコがすぐに振り落とされてしまうからだと考えられます。
なぜタコがアオザメの背中に乗っていたのかはわかりませんが、研究者らはそれに至ったいくつかの仮説を述べています。
なぜタコはアオザメに乗っていたのか?
メルヘンチックな理由を想像するなら、このアオザメとタコがお互いに厚い友情で結ばれており、サメが友達のタコを背中に乗せて運んであげていたのだと思いたいところです。
しかし現実的に考えると、それはなかなかありそうもないことでしょう。
一般的にサメとタコとは”食う・食われる”の関係でしかないからです。
その中でチームはタコがサメの背に乗った経緯について、次の仮説をあげています。
最も有力なのは「捕食からの回避」です。
タコが水中を漂っていた際に運悪くアオザメが襲ってきて、それを間一髪かわした可能性があります。
そして普通に泳いで逃げるのは分が悪いので、タコが機転を効かしてサメの背中にくっついて身を潜めたのかもしれません。
背中の上ならサメの鋭い牙が届くこともないでしょう。
