「APT増加」を掲げる今シーズンのJリーグ。レフェリングに目を向けるとこれまでに比べて明らかにファウルを取る頻度が減った印象だ。しかし、ファウルとなるプレー自体が減ったわけではない。そのようなプレーがあってもファウルが取られず、そのまま流されているシーンが幾度となく確認されている。
このようなレフェリングは、選手生命を大きく左右する恐れがあることは言わずもがな。いくらコンタクトの強さや深さを世界基準に近づける狙いがあろうとも、選手の安全が保障されないことには本末転倒である。取るべきファウルにはしっかり笛を吹き、流すべきプレーかどうかのジャッジ基準を見直すなど、レフェリー全体の判定精度を上げていくことが求められるのではないだろうか。

今季レフェリングに疑問の声
実際に現場でもレフェリーの判定に関して怒りの声が上がっている。サンフレッチェ広島で指揮を執るミヒャエル・スキッベ監督は、今季第4節横浜FC戦後のコメントで「今シーズンはプレイングタイムを延ばすためにファウルを流して(APTを)長くしていこうと話があったが、それによってファウルが流される。ファウルを何回受けても、ひどいファウルがあったにも関わらず、カードも何も出さずに流されている現状がある。非常に残念です」と怒りを露にした。
Jリーグのファウル判定基準について、NHKBS1で放送された同リーグ第5節の浦和レッズ対ファジアーノ岡山の試合で解説を担当した早野宏史氏も「プレータイムを延ばすことは良いことだけど、目的と手段を間違えてはいけない」「(プレーを)流すのは良いけどファウルを取らないのは違う」といった厳しいコメントを寄せている。Jリーグ審判団の早急な判定精度向上が必要であることは言うまでもないだろう。
