これは天の川銀河の中心部が引き起こす強烈な衝撃波によって、周囲の物質が吹き飛ばされたことを物語っています。

研究チームは新たに捉えられたこの構造を「宇宙の竜巻(space tornadoes)」と呼んでいます。

これほどまでに、天の川銀河の中心付近のフィラメント構造が鮮明に確認されたのは初めてとのことです。

では”宇宙の竜巻”と称されるこの細長いフィラメントは何の役に立つのでしょうか?

「宇宙の竜巻」は何の役に立つのか?

研究者によると、宇宙の竜巻は天の川銀河の中心部における物質の循環プロセスを理解する上で貴重な情報源になるといいます。

一般的に、銀河の中心には大量の塵やガスが集まり、それらが星を形成したり、ブラックホールに吸い込まれたりします。

しかし、これらの物質がどのようにして循環し、進化しているのか、その詳細な過程は明らかではありません。

今回の発見によって、これらの細長いフィラメントが物質の移動を助け、さらに宇宙のエネルギーを伝える重要な役割を担っている可能性が浮かび上がったのです。

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天の川銀河中心で撮影された超大質量ブラックホール「いて座A*」/ Credit: ja.wikipedia

フィラメントが「衝撃波」によって作られるという点も非常に重要です。

衝撃波とは、物質が急激に加速されたり、圧縮されたりするときに発生する波動であり、これが物質を動かし、フィラメントを形成する原因となっています。

つまり、これらのフィラメントは単なる宇宙空間の構造ではなく、宇宙での物質の流れを理解するための手がかりとなる重要な証拠なのです。

一方で、これらのフィラメントがどのようにして初めて形成されるのか、今のところは完全に解明されていません。

研究者たちは、衝撃波がフィラメントの形成に関わっていると考えていますが、その詳細についてはまだ議論の余地があります。

今後、さらなる観測と研究によって、これらのフィラメントが果たす役割が明らかになり、銀河や宇宙全体の理解が深まることでしょう。