今月に「なんばHatch」で開催された5人組ロックバンド「礼賛」のライブ中に犯罪行為があったと観客がSNS上で指摘していた問題で、運営会社であるキョードー大阪は19日、「3月16日(日)礼賛公演中の事実確認と対応についてご報告」と題する声明を発表。そのなかで
「被害を申告された方によるXへの投稿内容に事実との相違があることを、投稿時より確認しておりました」
「しかし、礼賛のファンであることや個人の発信であることを考慮し、静観しておりました」
「コンサート運営会社として誠実に対応いたしました」
「終演後、第三者の目撃者(お客様)に任意でご協力頂き、警察立ち合いのもとで痴漢行為と疑われる事象は認められないという証言が提示されました」
と説明。加えて、被害の申告者の文面を引用しながら、その主張の一部について「当該発言はなかった」「事実は一切なし」と否定。「お客様同士のトラブルは当事者間での解決が原則とされています」「第5条(入場者間のトラブル) 主催者は、公演会場内における入場者間のトラブルについては一切責任を負いません」と記載し、さまざまな声が寄せられる事態となっている。イベント運営会社関係者は「なんらかの声明を発表する必要に迫られるなかで、対応が非常に難しいケースであることは事実」というが、こうしたケースでは危機管理対応としてはどのような方法をとるべきなのか。専門家の見解を交えて考察してみたい。
老舗のイベント興行会社として知られ、年間3600以上のステージを手がけ、年間観客動員数は880万人を超えるとされるキョードーグループ。そのなかで主に関西圏で音楽コンサート・ライブなどを企画・制作・運営・チケット販売するキョードー関西グループの中核企業がキョードー大阪だ。
被害の申告者とキョードー大阪の主張
問題が起きたのは今月16日の公演。被害の申告者はライブ中に同伴していた夫を介してライブスタッフに被害を訴えるメモを渡し、キョードー大阪スタッフはロビーで被害を加えたとされる男性に会場外で事実確認を行い、警備員の監視のもとで男性をいったん会場内に戻したという。その後、会場外で当事者同士(申告者と男性)が話し合いを実施。申告者はSNS上で、警察を呼びたいと申し入れたがスタッフに止められたと説明しているが、キョードー大阪はリリースで「警察への連絡を抑止した事実は一切なし。『当人同士での話し合いで解決不可能な場合、ご自身の言葉で110番通報してください』とキョードー大阪スタッフが助言した」と主張している。
また、申告者が、個室で警察と話している途中でスタッフが入ってきたため十分に話せなかったと記述している点について、キョードー大阪は「キョードー大阪スタッフが、女性の同行者(夫)に名刺を渡すため入室した。名刺を渡した目的は、チケットの返金対応および、落ち着いた後に改めて状況を報告してもらうため」と説明している。
ちなみに男性に最初に事実確認のために話を聞いた後に、いったん会場内に男性を戻した点についてキョードー大阪はリリース内で「男性は場外で待機していただくべきでした。(女性に)不安に感じさせる対応をとってしまい、誠に申し訳ございませんでした」と謝罪している。