もし将来、この技術が実用化されるなら、さまざまな分野で活用するでしょう。

例えば、美術館や博物館では、特定の展示物の前に立つと、その説明音声が聞こえるシステムを作ることができます。

訪問者が展示の前に立ったときだけ、ピンポイントでガイド音声を届けることができるため、他の来場者には邪魔になりません。

また、オフィスでは、特定のデスクだけに音声が届く仕組みを取り入れることで、個人の集中力を高めることができるでしょう。

さらに、車内での応用も考えられます。

例えば、「運転席ではナビの音声案内を、助手席では音楽を、後部座席では映画の音声をそれぞれ独立して流す」なんてことも可能になるかもしれません。

イヤホンやヘッドホンを使わずに個人だけの音楽空間を楽しめる時が来るのを楽しみに待ちたいものです。

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参考文献

‘Audible enclaves’ could enable private listening without headphones
https://www.eurekalert.org/news-releases/1076892

Ultrasonic Beams Create Private Sound Pockets The technology could be used to create personalized and secure “audible enclave”
https://spectrum.ieee.org/ultrasound-tech

元論文

Audible enclaves crafted by nonlinear self-bending ultrasonic beams
https://doi.org/10.1073/pnas.2408975122

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。