これは、目に見えない小さな音の「泡」のようであり、その中にいる人だけが音を聴くことができるというものです。
では、どのようにこれを可能にしているのでしょうか。
研究者たちは、2本の超音波ビームを放射し、それらを適切な交差点で干渉させることで、特定のエリアでのみ周波数変調が起こり、可聴範囲の音を生成しているのです。
どちらの超音波ビームも、それ自体では音を聴くことはできません。
ビームが交差して初めて可聴音が発生するので、スポット外の人には音が聴こえないのです。
またこのビームは人間の頭などの障害物を回避して、指定された交差点に到達できるため、どのような場所でも「音のプライベートスポット」を生成することが可能だと言えます。
美術館やオフィス、車内でもプライベートな音楽・音声空間が得られる

研究チームが行った実験では、周波数40kHzと39.5kHzの超音波ビームを交差させて、人形の頭の前方数センチに500Hz「音のプライベートスポット」を作ることに成功しました。
またビームの1つの周波数を変えることで、可聴範囲の125Hz~4kHzまでの6オクターブにわたる音声を生成できることも示しました。
この新しい技術により、現時点では、対象から約1メートル離れた場所に音を送り、60dB程度の音量で音楽や音声を再生することができます。
研究チームは、「超音波の強度を上げるなら、距離と音量の両方をもっと大きくできるかもしれない」と述べています。
