【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
ホンダCR-V e:FCEV。価格:809万4900円(CEV補助金は255万円)。e:FCEVは外部給電機能が充実。屋外で手軽に100V(1500W)電力を活用できる。災害時などでも頼りになる存在。航続距離はFCEVとして約621km、BEVとしても約61kmの走行が可能。水素の充填は約3分でOK(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

水素燃料電池とプラグインハイブリッドの賢い二刀流

 FCEV=水素燃料電池車というと、みなさんはどのようなイメージを持つだろうか。「水しか排出しない」という環境への負荷の少なさから「究極のエコカー」とも呼ばれ、期待を集めていることはご存じだろう。ここ最近の技術革新やメーカー各社の取り組みによって、水素燃料電池車は身近な存在になりつつある。先日ホンダが世界初の技術を搭載したFCEV、新型CR-Vを日本でリリースしたのもその一例。CR-V e:FCEVとネーミングされたそれは、アメリカでもすでに販売が開始されているワールドカー。水素社会に新たな一歩を踏み出す意欲作だ。

【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 新型CR-V e:FCEVの最大の特徴は、水素燃料電池車でありながらプラグインハイブリッド機能を持たせBEVとしても使用できる点にある。今回のモデルには、第2世代となる燃料電池システムが搭載されており、水素を使った発電と、電源からの充電という2つの選択肢が生まれた。使い勝手は格段に向上しており、水素の一充填当たりの走行距離は約621km。一方、一充電時のEV走行距離は約61kmに達する。CR-Vは、日常走行時はBEVとして、BEVが苦手な長距離ドライブは水素で自ら発電して走行が可能なのだ。つまり電欠知らずの電動車としてオールマイティに使える。

 燃料電池車は、一般的なBEVに対して航続距離が長いのが特徴。しかもBEVは充電に長い時間を要するのに対し、FCEVの水素充填時間は、ガソリンとほぼ同等の3分程度でOK。日本ではまだまだ水素ステーションは少ないが、身近に水素供給拠点(そしてCR-V e:FCEVの場合は充電環境)があれば、従来のエンジン車と同様の使い勝手で、環境に優しいクルマが手に入る。

 試乗時に水素ステーションを訪れた。チャージャーは通常の給油機より冷えていて、若干重いが、私たちの知る給油機とほぼ変わらない。前述のように約3分で、すぐにチャージができた。これでCR-Vの場合、トータルで約680kmも走れるのだ。安心して長距離ドライブが楽しめる。水素ステーションが普及すれば、無敵すぎる! プラグイン充電は、普通充電に対応。6.4kWの場合、約2.5時間で満充電になる。駐車場に充電環境があれば手間はかからない。

CR-Vは「電源車」としても無双ぶりを発揮。走りは究極スムーズ

 CR-V e:FCEVは、電動車らしくクルマに蓄えた電力を自在に使えるのも魅力だ。たとえば、パワーサプライコネクターという新たなシステムにより、充電ポートから給電が可能で、屋外で手軽に100V(1500W)の電力を供給できる。荷室には、可搬型外部給電器へ電力を供給するDC給電口も装備。イベント時や、避難所などでのバックアップ電源としても活用できる。つまり電源車として幅広く使える。本当に賢くて、すごい!

 ドライブモードもこのクルマならではの特徴だ。FC(燃料電池)電力/バッテリー電力を自動でマネジメントするAUTOモード、バッテリー残量を維持するSAVEモード、FCからバッテリーを充電するCHARGEモード、そしてバッテリー電力を優先的に使用するEVモードの4種類が用意されている。どのモードを選んで走るかだけでも、ドライブが楽しみになりそうだ!

【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 そんなCR-Vの外観は、知的でクリーンなデザインが印象的で、ボディカラーはプラチナホワイト・パールとメテオロイドグレー・メタリックの2色展開。カラーバリエーションに関してはちょいと物足りなさも感じるが、そのシンプルさが、かえってこのクルマの持つ機能美を引き立てているといえる。そう。物はいい。

 ホンダは水素燃料電池車を普及させるために「誰もが使いやすいSUV」を選んだ。これまで燃料電池車といえばセダンタイプのトヨタMIRAI/クラウンといったフォーマルな車種が中心だった。SUVは家族連れやアウトドア派など幅広い層に人気があり、より多くの人々に受け入れられる可能性が高い。ホンダはSUVに水素技術を融合させることで、燃料電池車を「敷居の高い特別な存在」から「日常に溶け込む存在」へと変えていこうとしているのだ。

 実際にこの新型CR-Vに乗って最初に感じたのは、高い静粛性と滑らかな走行感である。エンジンが存在しないため、振動も音もほとんど感じられない。そのため、運転中のストレスが少なく、スッキリと運転できる。通常のBEVと同様の静寂性がある一方で、トルクの出方にはどこかガソリン車の親しみやすさも感じられるのが個性だ。過度な加速感の演出がないため非常に運転しやすく、街中での取り回しや、高速道路での安定感にも満足感がある。そして、何よりも安心感を感じた。

 車重は2010kg。かなり重い印象を持つかもしれないが、その重さをまったく感じさせない安定感とまとまりがあり、まさに「BEVとガソリン車のいいとこ取り」という印象を持った。これなら長距離ドライブもストレスなく楽しめること間違いなし!

【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 CR-Vに搭載されている燃料電池システムは、ホンダとゼネラルモーターズ(GM)の共同開発ユニットである。ホンダにとっての燃料電池技術の第2世代目にあたり、開発には多くの苦労があったと聞いている。とくにアメリカのGMとの時差や言語の違い、そして厳しい基準を満たすための調整には、多くの労力がかかったという。

 その結果として生まれたCR-V e:FCEVは、両社の技術と情熱の結晶であり、環境への貢献を目指すという強い思いが形になったものだ。ホンダのこの技術力は驚異的だ。それをさらっと成し遂げる実力は、「すごいことをやっているんだぞ!」ともっと誇ってもいいと思える。
 バックグラウンドを知ると、CR-V e:FCEVの放つ輝きがより深く感じる。ぜひとも、開発秘話を映画にしてほしい。

 未来を見通すと、このCR-VのようなFCEVが普及することが、私たちの生活をより良くするために非常に重要だと感じる。現状では水素タンクの定期交換や充填インフラの整備など、まだ課題はあるが、ホンダの挑戦には「どうやって私たちの生活をよりよくしていくか」という強い思いが込められている。

 ホンダはさらに、トラックや建設機械、定置型発電システムへの応用など、水素社会の実現を見据えて技術をクルマ以外の分野にも広げるビジョンを持っている。水素を「生活の中核を担う存在」に育てていこうとしているのだ。このビジョンこそが、カーボンニュートラル社会に向けた強い意思を示している。

 燃料電池車はまだまだ高価で手の届きにくい存在かもしれない。このCR-Vも補助金が最大255万円用意されてているとはいえ、車両価格は809万4900円。しかも現状は一般販売ではなく、最長5年のリース販売となる。だが新型CR-Vは、次世代のエコカーの先駆者だ!

 私もCO₂削減に貢献する一員として、カーボンニュートラルな未来に向かって取り組んでいきたい。まずは動画クリエイターとして、認知を広める発信からスタートしよう。

【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【最新モデル試乗】ホンダCR-V e:FC EVは未来を先取り。こんなすごい技術を実用化していることに感動しました!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)