「最近、海の様子がいつもと違う気がする」いつの頃からか、そんな声が漁師たちの間で囁かれるようになった。

 2024年1月1日の能登半島地震の後、富山湾では本来深海に生息するエビの大量発生や漁獲量の減少が報告された。一方、太平洋側では、黒潮続流がこれまでにないほど北へ蛇行し、三陸沖の海洋環境が急激に変化しているという。

 これらの現象は偶然なのか、それとも日本の海に何か大きな変化が訪れているのか?さらには、黒潮続流の異常な動きが、今後の地殻活動に影響を与えることはないのか――。

富山湾の異変と漁師たちの証言

■地震後の異常現象

 2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6)の影響で、富山湾の海底では大規模な地滑りが起きたとされている。その影響なのか、普段は深海付近に生息するエビが、漁場に大量に現れるという異変が発生した。

 また、TOCANA関係者が過去に取材した富山湾で漁を営む漁師の中には、10年ほど前から『海の変化』を感じていたと話す者もいた。

「大王イカ(全長10m超)が大量に出現するようになった」 「海底の様子が変わっているのではないか?」

 2010年代から、富山湾では大王イカの出現が続いていたという。

 当時から「何かが起こっているのでは?」と噂されていたが、2024年の地震をきっかけに、さらに不安の声が広がった。

■富山湾の海底の変化

 2024年の調査では、深海900m地点に崖のような段差が形成されていることが確認されたと報じられている。震災後、海底の高さが最大80mも変化していたという。

 地震による影響は否定できないが、海洋環境そのものに、もっと大きな変化が起きているのではないだろうか。