この研究では、精神疾患ごとのソーシャルメディア使用傾向と、ソーシャルメディアの特性がどのように影響を与えるのか分析しました。

ソーシャルメディアは妄想を増幅させる

分析の結果、ソーシャルメディアの使用と統合失調症や妄想症の症状には関連性があると分かりました。

一部の研究ではソーシャルメディアの利用が症状の悪化に寄与する可能性が示唆されています。

例えば、「他者に監視されている」という被害妄想がソーシャルメディア上で強化されることが報告されています。

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ソーシャルメディアは妄想を増大させると判明 / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

また、自己像の歪みが強い人ほど、ソーシャルメディアの影響を受けやすいことも判明しました。

ナルシシズムや身体醜形障害の患者は、SNSを使って理想化された自己像を構築する傾向があり、それが症状の悪化につながる可能性があります。

実際、いくつかの研究では、身体醜形障害の患者がSNS上で自己イメージを頻繁に操作し、過度なフィルターを使用する傾向があることが報告されています。

これが自己評価の低下や症状の進行と関連している可能性があるのです。

さらに、アルゴリズムが妄想を強化する可能性も指摘されています。

SNSのレコメンド機能によって、ユーザーの関心に基づいた情報が優先的に表示されるため、特定の信念が強化される可能性があります。

ある研究では、陰謀論を信じる傾向がある人がソーシャルメディア上で同様の内容を繰り返し閲覧することで、その傾向が強くなることが指摘されています。

これにより、彼らはいっそう陰謀論や誤情報を信じやすくなるのです。

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ソーシャルメディアによって、「自分が特定の人から愛されている」という妄想が強くなる場合も / Credit:Canva

加えて、エロトマニア(恋愛妄想症)の人も同様の影響を受けます。