
ilbusca/iStock
JFK暗殺に関する機密文書が、ついに明日公開される。昨年にも指摘した通り、これは予定通りの動きだ。そして、これはトランプ政権の数少ない功績の一つと言えるだろう。
この発表を受け、一部では「これで陰謀説が証明される」「オズワルド単独犯ではないことが明らかになる」といった声が上がっている。確かに、オズワルドはCIAに利用されていた。彼がジャック・ルビーに射殺される直前、「自分はハメられた」と叫んだことは事実だ。オズワルドは単なる「将棋の駒」にすぎず、その背後にははるかに大きな諜報組織が存在していた。
私は10年ほど前、日本の視聴者に向けて、CIAの上級工作員であるラルフ・ラーセン氏(写真)の証言を紹介した。

ラルフ・ラーセン氏(左)と筆者筆者提供
彼はCIA長官賞を受賞したエリート諜報員であり、よくある「組織を裏切った内部告発者」ではない。彼は、JFK暗殺に関与したとされる実在のCIA工作員の名前を挙げ、彼らの具体的な役割について詳細に証言した。これを基に制作されたNHKスペシャルでは、事件の背後にある米国諜報機関の暗躍が浮き彫りにされた。
しかし、残念ながら今回公開される機密文書の中に、その核心部分は含まれていない。昨年書いた通りだ。すでに文書を閲覧した連邦判事から直接話を聞いているため、確信を持って言える。
結局、冷戦下において「ソ連に対して弱腰だったJFK」を排除することが、米国の諜報機関にとって「国益」だったのかもしれない。だが、それは本当に米国にとって、いや人類にとって正しかったのか?
歴史に「もし」はない。しかし、もしJFKが生きていたら、ベトナム戦争は回避され、米国の外交戦略は大きく変わっていた可能性がある。彼の死は「米国の勝利」だったのか、それとも「最大の過ち」だったのか。
この話は、今でもなお世界情勢と密接に結びついている。例えば、人類が全面核戦争の寸前まで迫った「キューバ危機」。