寧辺の5MWの原子炉は激しく老化しているから、それを修復して原子炉活動を再開するためには多くの費用と時間が必要となる。北朝鮮は5MWの原子炉の再開をちらつかすことで米国を核協議に誘導しようとしているだけで、今後はウラン濃縮活動に力を入れてくるはずだ。ウラン濃縮施設で兵器用ウランを入手する作業は使用済み核燃料の再処理施設でプルトニウムを入手するより容易な上、監視衛星から隠蔽する上でメリットがあるからだ。

豊渓里(プンゲリ)の核実験場については、大きな変化は見られず、引き続き核実験をいつでも実施できる状態が維持されている。北朝鮮の核計画の継続は、関連する国連安全保障理事会決議やIAEA理事会決議に違反している。グロッシ事務局長は「北朝鮮は関連する国連安保理決議に完全に従うこと、NPTの保障措置協定を全面的かつ効果的に履行するために速やかにIAEAと協力すること、そして、IAEA査察官が不在の間に生じた問題を含め、未解決のすべての問題を解決するよう求める」と述べている。

明確な点は、北朝鮮は核兵器を自国存続の保証と考えているから、核カードを放棄することは絶対にないことだ。朝鮮半島の非核化は金正恩総書記体制が続く限り、考えられない。

北朝鮮は昨年6月、ロシアと安全保障・防衛分野などを網羅した「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結する一方、約12000人の兵士をロシア軍を支援するためにウクライナに派遣するなど、ロ朝両国が軍事同盟の関係を深めている。北朝鮮側がプーチン大統領の要請を受けて弾薬や大砲などの武器供給のほか、兵士も派兵しているとすれば、北側はロシアから何らかの代価を得ていると考えて間違いないだろう。具体的には、ロシアから核関連、軍事衛星、原子力潜水艦関連の技術支援を得ているはずだ。

ドイツ民間ニュース専門局ntvによると、ウクライナでの戦闘で使われている北朝鮮製ミサイルが突然、より正確に命中するようになったという。北朝鮮の部隊がウクライナに派遣された当初、西側軍事専門家は北製ミサイルの性能の悪さを嘲笑していたが、今年に入ってミサイルの命中度が劇的に向上したという。ロシアとの軍事協力の成果が出てきているのだ。