現に、最低賃金と食料品価格指数を比較すると、同じような勢いで上昇していることが確認できる。一方で、政府は現在1,055円程度の最低賃金を、2020年代中に1,500円まで引き上げるというアグレッシブな目標を公言している。
これを達成するためには、これから毎年+5.9%の最低賃金の引き上げが行われることになるため、これからも、食料品価格が最低賃金上昇率程度のスピードで上昇することは容易に想像できる。
そしてそれは、今1,055円のランチが5年後には1.42倍の1,500円になっているという事を意味する。
しかしその間に、一部の人を除いて収入は1.42倍にはならないので、ランチの外食はあきらめて、冷食・中食・機能性食品に切り替えるサラリーマンが激増していく未来が予想される。

出典:厚生労働省 政府統計の総合窓口e-Stat
しかし、暗い話ばかりではない。
現時点では、解雇規制が厳しいため、中高年以降の人は雇用の流動性がなく、会社で「働かないおじさん」と揶揄されながらも転職できない。その結果、雇用延長によって会社にしがみつき、ボーナスステージを過ごしている人が多くいる。
しかし、最低賃金が1,500円程度になると、最低賃金でも月収約25万円となり、中高年の雇用の流動性が徐々に高まってくる。その結果、これまで会社にしがみついていた中高年のおじさんも、ついに若いころに挑戦したかったことに取り組める環境が整い、いきいきと生活を謳歌する中高年であふれることになる。
これから、50歳未満のちゃんと働ける世代の人口は、つるべ落としで減少することが決まっている。だから、生き生きと働いてくれる中高年のおじさん達は、日本にとってとても貴重な存在なのである。

出典:国立社会保障・人口問題研究所