そして参加者を2つのグループに分け、一方には寝る前にワサビ抽出物を含む錠剤(ヘキサラファン0.8mg含有)を、もう一方には何の効果も期待されないプラセボ(偽薬)を飲んでもらい、これを12週間にわたって毎晩続けました。

毎晩1錠のワサビ抽出物を服用
毎晩1錠のワサビ抽出物を服用 / Credit: canva

その結果、驚くべきことに、プラセボでは実験前後で何の効果も見られなかったのに対し、ワサビ抽出物を服用したグループでは、長期記憶と短期記憶の両方で大幅な向上が表れたのです。

特に高齢者において困難になるとされる「名前と顔を結びつける能力」に高い改善が見られました。

他方で、実行機能や処理速度を含む認知機能では、ワサビ抽出物を摂取しても変化がなかったといいます。

以上の結果からチームは、60〜80歳の人はワサビを継続的に摂取し続けることで「記憶力」を改善できる可能性があると結論しました。

「最近、人の名前が出てこない」という方は、毎日の食卓にワサビをほんの少し取り入れるといいかもしれません。

ただし、記憶力の改善に寄与すると考えられる「ヘキサラファン(6-MSITC)」は、すりおろした生ワサビから最も効率よく摂取できるという。

チューブ入りワサビの場合だと、本ワサビの他に西洋ワサビや長期保存のための食品添加物が多く含まれているので、ヘキサラファンが摂りにくくなっています。

ワサビで記憶の衰えを止めるには、できれば生ワサビを買ってきて、自分ですりおろすのがベストでしょう。

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参考文献

Test with volunteers shows wasabi improves short- and long-term memory in older people
https://medicalxpress.com/news/2023-11-volunteers-wasabi-short-long-term-memory.html