キメラ技術に進歩です。
中国科学院(CAS)で行われた2023年の研究で、2種類のサルの幹細胞を高レベルで融合させた、世界初の生きたサルのキメラが作成されました。
生物学におけるキメラは、1匹の体内に2種類以上の異なるゲノムをもつ細胞が同居する状態を意味しています。
今回の研究では幹細胞の融合レベルを確認するために、2種類の幹細胞のうち1種類に強い光シグナルを放つように遺伝子改造されており、生まれてきたキメラサルの目や指や脳、肺、心臓などは緑の輝きを放っていました。
これまでキメラマウスやキメララットなどは作られていましたが、ヒトに近い霊長類でのキメラ作成技術は、病気の研究や薬の開発に有用な道となると期待されています。
ただ研究で誕生したキメラサルの赤ちゃんは健康に問題があり、低体温症と呼吸困難を発症したため、出産後10日で安楽死させられました。
研究者たちは、キメラサルを実験動物として確立するには、キメラ作成のアプローチを最適化する必要があると述べています。
しかし、キメラサルの赤ちゃんは何が原因で、健康が悪化してしまったのでしょうか?
研究内容の詳細は2023年11月9日に『Cell』にて「ES細胞の寄与が高い生きたキメラサルの誕生(Live birth of chimeric monkey with high contribution from embryonic stem cells)」とのタイトルにて公開されています。
目次
- キメラ技術の問題点は混ぜ合わせが弱さにある
- 生まれてきたキメラサルは脳まで緑色に輝いていた
キメラ技術の問題点は混ぜ合わせが弱さにある
