例えば石破氏が、件の新人15名を党本部に集め、党の総裁として、自民党の来し方、議員としての心得などを、労いの言葉を交えつつ語ったとすれば、それは自民党の「政治上の主義、施策を推進」するための訓示であることは明白だ。よもや石破氏も、それを「政治活動ではありません」などとは言うまい。

では、それが首相の公邸か官邸か知らないが、会食付だとなぜ「政治活動」に当らないというのか。会食が1時間(2時間かも)行われたとして、そこでの話題が「自民党の来し方、自民党議員としての心得」などには一切触れず、下世話に終始したとでもいうのか。そうだとすれば、これもまた問題だが。

記者は、石破氏が「会食」(及びお土産)の意図が「労い」だと強弁するなら、逆質問におたおたせず、石破氏が「会食」中に何を述べたかを問い質すことが必要なのだ。同様に、新人15名にも、石破氏がそこで何を語ったか、どういう話題が出たのかなどを取材せねばならない。

石破氏は「一人飯」が多いらしい。が、菅(すが)元総理などは「会食のハシゴ」で有名だった。政局になれば誰と誰が「会食」したかがメディアを賑わす。「常在戦場」とは政治家のためにあるような語だが、そうした政治家の「会食」は須らく「政治活動」なのである。

石破総理総裁のままで夏の参院選を戦いたい野党は、この問題を追求する腰が全く引けている。が、夏に改選を控えた西田昌司氏や青山繁晴氏などは公然と、両院議員総会での総裁交代を口にし始めた。

そもそも安倍政権での国政選挙6連勝の期間、ずっと党内野党として政権を後ろから撃っていた人物が、自民党の主流になれる道理がない。筆者に言わせれば、即座に「お土産」を返した新人の方が余程しっかりしている。石破総理総裁は、一刻も早く退陣すべきである。