研究チームは、一定期間が経過した後に再度学習を行う「ブースターショット」の効果を検証しました。

10日後、あるグループには追加の学習機会としてクイズ形式の復習や短縮版の「Bad News」ゲームを実施し、もう一方のグループには「偽情報の危険性」を強調するだけの警告メッセージを提示しました。

その結果、ブースターショットを受けたグループでは、1か月後でも偽情報への耐性が高く維持されていたのです。

対して、単なる警告メッセージを受けたグループでは耐性が急激に低下していました。

つまり偽情報への警戒には、単なる警告を出しているだけでは効果がなく、記憶を定着させる適切な形での学習が繰り返し必要であることを示唆しています。

今回の研究の意義は、単に偽情報に対するワクチン的アプローチを示しただけではなく、それを持続可能な形で社会全体に根付かせる方法を示した点にあります。

偽情報対策の鍵は、一度学んで終わりではなく、継続的に情報リテラシーを維持し、社会全体の免疫力を高めることです。

そのために、ニュースアプリやSNSの通知機能を活用し、定期的に偽情報を見抜くトレーニングを提供することが考えられます。

例えば、信頼できるメディアが短い教育動画を配信し、ユーザーが自然に情報耐性を鍛えられる環境を整えることで、持続的な学習が可能になります。

また、企業や教育機関が研修や授業の一環として、このような心理的予防接種の考え方を取り入れることで、社会全体の情報リテラシーを向上させることができます。

特に、若年層が早い段階で偽情報に対する耐性を身につけることができれば、長期的な偽情報対策として極めて有効です。

重要なのは、こうしたアプローチが情報の規制ではなく、人々が自ら情報の正誤を判断できる力を育むという点です。

偽情報の拡散を防ぐには、単に情報の規制を強めるのではなく、社会全体で「偽情報に対する免疫力」をつけることが不可欠なのです。