中をのぞいてみました。受付の窓口がなんともレトロ。今は基本的に中には入れませんが、山形市内の近代建築を使ったアートや音楽のイベントが開かれる際には中に入ることもできるそうです。

続いて訪ねたのはこの写真館。ライトグリーンのペンションのようなかわいらしい建物です。こちらは大正10年に建築されたもので戦時中は出兵する兵士の記念写真を撮る人で賑わったといいます。かわいらしい建物ですが重い歴史を刻む写真館です。平成7年に廃業しています。

済生館

最後に訪ねたのは済生館という建物。もともとは市街地にありましたが、今は山形城址・霞城公園の中に移築されています。この地を拠点とした山形の雄、最上義光の銅像の意気揚々とした姿が印象的です。

城址の南端に佇むこの建物が済生館。明治6年に建てられた私設の病院です。山形の近代化を目的に洋風建築が採用されました。

かつてこの建物があった場所には現在山形市立済生館という病院が建っていますが、それはこの初代済生館が老朽化し新たに建て替えられたものです。建て替えの際に初代済生館は壊される予定でしたが、保存運動が起こりこちらに移築されることとなりました。

この建物の特徴は1階はドーナツ状になっていて中庭を囲むように診察室が配置されています。2階は16角形の大広間、3階は8角形の小部屋がありました。夏の時期は1階の円状になった廊下で盆踊り大会があったそうで、何とものどかな時代だなと思います。

大正6年の部屋割り図。ユニークな構造の病院。

2階へはこの不思議な階段を使って移動する(写真は下り)。

16角形の2階の大広間に上がってきました。1階は医学的な資料や病院としての済生館の歴史を伝える資料が展示されていますが、2階は済生館の建物についての解説がされていました。

この先3階には螺旋階段を登っていくのですが、通常は立ち入り禁止。私たちが登ることはできません。法規制があるのか今の総合病院はどこも似たような構造になっていて建築的には面白味がありません。現代の病院の方が効率的で機能的なんだろうと思いますが、ときにはこんな斬新でどこか遊び心が感じられる部分があってもいいのではないかと思いました。

明治43年建築の聖ペテロ協会は登録有形文化財。