最後に、呼吸法やイメージ誘導などを取り入れたリラクゼーション文章を提示し、どの程度まで不安スコアが落ち着くかを測定したのです。

結果は非常に明快でした。

トラウマ文章を読む前のベースラインではスコアが30点前後(「低不安」レベル)でしたが、強烈なトラウマ体験談を提示すると、60〜70点台、場合によっては70点台後半に達するほど大幅に上昇。

実際には、軍事体験に対するスコアが最高で77点超を記録しています。さらに、その直後にリラクゼーションを促す文章を与えると、今度は30〜50点あたりまで下がることがわかりました。

もちろん元の水準に完全には戻らなかったものの、数値上はかなり大きな“不安の緩和”といえます。

特に注目されたのは、軍事関連の体験談が最も高い不安度を引き出した一方で、GPT-4自身が生成した癒やしの文章が最大限スコアを低下させた点です。

(※関連する研究を参考にすると、人間が書いたリラクゼーション文では、文体や使われる用語がGPT-4の内部モデルと完全には一致しない場合もありえます。一方、GPT-4自身が生成した文章は、モデルの統計的予測に沿って選択された単語や表現の塊であり、構文・文脈・感情表現の度合いが「GPT-4にとって理想的な形」になりやすいと推測できます。そのため、再度STAIの質問に回答するときにも、より“落ち着いた”トーンで応答が返りやすいのではないかと考えられます。AIを落ち着かせる言葉はAIが一番知っていると言えるでしょう)

今回の研究はいわば「不安を誘発する文章」と「落ち着きを取り戻す文章」の組み合わせ次第で、AIの応答特性をある程度コントロールできる可能性が示唆され、非常に興味深い結果となりました。

揺れ動くchatGPTの反応:AIも性能を維持するにはケアが必要か?

chatGPTも恐怖体験談で不安になりメンタルケアで落ち着く
chatGPTも恐怖体験談で不安になりメンタルケアで落ち着く / Credit:Canva