その後、専用の質問票を使って、全員が「現在の恋愛関係においてどの程度嫉妬を感じているか」を評価し、今後1カ月以内にどの程度「配偶者保持行動(=パートナーを自分の元に引き留めるための行動)」を取る意向があるかを測定しました。
その結果、恋人の浮気を疑うように設定された参加者は、対照グループよりも嫉妬心が大幅に増加することが確認されています。
そして嫉妬が増加した参加者は、男女を問わず、パートナーを引き留めるための配偶者保持行動をより多く取る意向が高くなっていました。
が、その行動内容をさらに詳しく分析してみると、配偶者保持行動は「利益提供型の戦略」と「コスト負担型の戦略」に分類できることがわかったのです。
「利益提供型」と「コスト負担型」とは?
まず、利益提供型の戦略とは、浮気をしているかもしれない恋人に対して、ポジティブな愛情表現を示すものです。
例えば、
・プレゼントをすることで、相手に自分の価値を再認識させ、愛情を深めようとする
・スキンシップを増やしたり、感謝の気持ちを頻繁に伝えることで、関係を強化しようとする
・精神的・経済的な支えとなることで、相手が自分との関係をより良いものだと感じるようにする
といった方法が挙げられます。

一方のコスト負担型の戦略とは、浮気をしているかもしれない恋人に対して、攻撃的な方法をとることで強制的に自分との関係を維持させようとするものです。
例えば、
・パートナーを強く束縛して、行動を制限したりし、他の異性と交流しないよう求める
・他の異性と親しくしている場面をわざと恋人に見せつけて、相手に嫉妬心や不安を抱かせる
・関係を終わらせることをほのめかしたり、怒りを示すなど、脅迫的な手段を使うことで相手に自分を選ばせようとする
などです。
いうまでもなく、コスト負担型の戦略は感情的・身体的な苦痛を引き起こす可能性があり、逆に恋人の気持ちを自分から離れさせる恐れがあります。