そして、桃園空港はかつて蒋介石国際空港と呼んでいた空港だが、台北まで時間がかかる。とは言うものの、親日国である台湾に来るとホッとするような温かさを覚える。

そして、特別講演に招かれたが、スマートホスピタルやデジタル化された医療では、日本の方が後進国である。以前も紹介したが、台湾の高雄で受けた検査結果は、台北の病院でも共有可能だ。日本では、東京から大阪の病院に移ると、再検査を受けることが少なくない。そして、診療情報提供書やCDに入力された情報を再入力しなければならない。

日本では重篤な薬疹の情報は収集されることはあっても、患者さんの血液が特定の研究機関に収集されることはない。台湾では臨床情報と共に血液が収集されるようになっている。そして、薬疹の原因がHLAにあるということを明らかにしたのも台湾の研究者だ。

コロナ流行が始まった時、台湾では日本のマイナンバーカードに相当するカードでマスクの売買が管理されていた。日本では拝金主義の業者が抱え込み、ハイエナのような人たちに買い漁られて、結果として安倍マスクというあきれかえるような状況に至った。しかし、この管理された体制は、日本の占領下に始まると私の台湾人の友人が言っていた。

台湾にはかつての日本にあったが、今は失われた貴重なものがたくさん残っている。私はそんな台湾が大好きだ。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年9月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?