人工知能(AI)が世界の各分野を席巻しだした。生産工程から始まり、オフィスワーク、そして芸術などの創造分野に至るまで、AIが進出しない職業は日増しに少なくなってきた。北欧デンマークのフレデリクセン首相は5月31日、対話型人工知能「チャットGPT」で作成したテキストで議会演説を行ったことで話題になったばかりだ。そして31日の韓国聯合ニュースを読んだとき、「近い将来はジャーナリストも消滅するのではないか」といった思いが湧いてきた。

大陸間弾道ミサイル発射場を視察する金正恩総書記と娘(2022年11月18日、朝鮮通信KCNAの写真から)
先ず、5月31日の聯合ニュース日本語版の記事を読んでほしい。
【ソウル聯合ニュース】韓国の情報機関、国家情報院は31日の国会情報委員会で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)について、睡眠障害を抱えており、体重が145キロ前後あるとの見方を示した。同委員会の与野党幹事が記者会見で伝えた。
国情院によると、北朝鮮当局が海外で不眠症治療薬の情報を集めているという。また外国製たばこや高級な嗜好(しこう)品が大量に持ち込まれることで、金氏のアルコールやニコチンへの依存が高まり、睡眠障害が悪化するという悪循環が起きている可能性があるとみて注視していると説明した。
ここまでは通常の記事だ。問題はその後半だ。
国情院はまた、16日に公開された金氏の現地指導の様子を人工知能(AI)を使って分析した結果、体重が145キロ程度あると予想されると伝えた。また昨年末から金氏の手や腕に引っかき傷があることが確認されており、国情院は『アレルギーやストレスなどが複合的に作用した皮膚炎』と推定しているという
すなわち、上記のニュースの情報源は国家情報院の007(諜報員)が汗をかきながら収集した情報ではなく、AIがこれまでの情報を解析した結果だというのだ。国際記事には「ロイター通信によれば」、「AP通信によれば」で記事が始まる外電が多いが、上記のソウル発の場合、「AI発によれば」ということになるのだ。