ルーマニアで5月4日、大統領選挙のやり直しが実施されるが、同国の憲法裁判所は11日、昨年の大統領選第1回投票で第1位となった親ロシア派のジョルジェスク氏(62)の出馬を認めなかった中央選挙委員会の決定を支持した。この結果、同氏は5月の大統領選出馬のチャンスがなくなった。

2024年11月24日に実施された大統領選挙の第1回投票では、無所属の極右民族主義候補として出馬したジョルジェスク氏(Calin Georgescu)が22.94%の票を獲得し第1位となり、現地のメディアも投票結果に驚いた。泡沫候補者とみられてきたジョルジェスク氏は中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を通して支持を急拡大し、当局から選挙不正やロシア関与の疑いをかけられた。

カリン・ジョルジェスク氏インスタグラムより

ジョルジェスク氏(62)は昨年10月段階で複数の世論調査では支持率1%にも満たない候補者だった。それが有力候補とされていたチョラク首相らを抑え、約23%の得票率でトップに躍り出たのだ。ルーマニア当局は、TikTokでジョルジェスク氏の知名などを拡散していたインフルエンサーらを突き止め、TikTokアカウントを利用した大規模な選挙運動が展開されていたと報告している。

ルーマニア憲法裁判所は決選投票直前の昨年12月6日、選挙資金の不正やロシアの干渉などを理由に第1回投票の結果を無効とし、12月8日に予定されていた決選投票を中止した。そして今年5月4日に選挙の再実施を決定している。

ルーマニア中央選挙管理委員会は9日、ジョルジェスク氏の5月の大統領選への立候補を拒否。これを不服としてジョルジェスク氏は憲法裁判所に提訴していた。 ロイター通信によると、ジョルジェスク氏の支持者は激怒して選挙管理委員会の建物前に設置された警察のバリケードを突破。警察は催涙ガスを使用して対応した。なお、ジョルジェスク氏はX(旧ツイッター)で、「欧州は独裁に陥った。私は圧政の中に生きている」と抗議している。